両者対面で正座して両手を膝の上に置き、相手は両手首を上から両腕が上がらないように強く押さえつけます。
両肘を開いてから肘を軽く内側に絞り、腹を少し前に出し両肘を脇腹に付け、両肘を脇腹につけた肘の角度を保ったまま力を抜き、腰を立てるようにして相手の両腕を持ち上げます。
力を抜くことで柔らかい力となり、相手は強く押さえようとしてもうまく力が入らず、簡単に相手の腕を上げることができます。
柔らかい力で、力と力がぶつからない状態にすることで相手の強い力を制御します。
柔らかい力で技をかけられると、強く押さえようとしても力が入らず、強い力が相手に伝わらなく相手の意のままに制御されます。
強い力と強い力の勝負で負けるのではなく、強く力を入れても伝わらず抵抗ができなくなります。力をぶつける対象物がなくなり、空気を押さえているような感じになります。
強い力と強い力ではより強い力が勝ちますが、相手の力が強くとも力が伝わってこなければ、相手を意のままに制御できます。
力を抜くことで柔らかい力となりますが、単に力を抜いただけでは強い力に負けます。このため強い力で押されても負けない関節の角度で相手の強い力を受けます。
技をかける時に両肘を開いてから肘を軽く内側に絞り、腹を少し前に出し両肘を脇腹に付けますが、この動きで強い力で押されても負けない肘の関節と肩の関節の角度に調整します。
両肘を開いてから肘を軽く内側に絞ることで肘関節は少しだけ外に開き、腹を少し前に出し両肘を脇腹に付けることで肩関節は一端少し下がりわずかに上がることで、強い力で押されても負けない関節の角度になります。
ここで大事なのは、関節の角度がほんの少しだけ変わるということで、関節の角度を大きく変えてはいけません。
この関節の角度を保ったまま力を抜き、腰を立てるようにして相手の両腕を持ち上げます。力の抜き方は、丹田に意識を入れて肘と肩の関節を支えるだけの力を残して手だけでなく体全体の力を抜くようにします。
こうすることで柔らかい力となり、相手の強い力とぶつからなく自分の意のままに相手を制御することができます。
次に、相手の腕を正中線上に自分の胸の高さまで持ち上げ、両手首を掴ませたまま左手を上に右手を下に交差させ、右手の小指と薬指、中指で相手の右手の母指球を掴み、掴まれている左手を親指が上になるように縦に回転させ、相手の親指と人差し指の間から切るように外して相手の手の甲に当て、右足を片膝立ちにして相手の右膝の外側に置き、 両手で肘を絞るようにして下に押して相手を体ごと仰向けに倒します。
相手を投げるときは小指を締めて腕の下側の筋を固めて投げので、相手の右手の母指球を掴む時は小指でしっかり掴みます
左手を外すときは手首の力だけではなかなか外れないので、肘から先までの長さをつかって手首ではなく肘を回転させるようにして外します。 柄が長いと先端に係る力が強くなる原理を利用します。
右足を片膝立ちにして相手の右膝の外側に右足を置くときは、相手を投げる際に足が壁になるように置きます。
相手の腕を持ち上げる位置は正中線上です。相手を投げる方向は自分の左側になるので、正中線より左側に腕を持ち上げてしまいがちですが、相手の正中線に両手の中心が来るように腕を上げます。正中線から外れると力の方向も外れるのでうまく投げることができません。
相手の正中線上に両手の中心を置き、投げる方向に向け相手の手の甲を両手で肘を絞るように下に押すと、相手の体が両手の中心線を軸に回転し倒れます。
強い力で押すと相手は強い力に反応して抵抗するので、相手に反応させないように柔らかい力で押します。
相手が倒れた後も相手の手を離さず床に押し付けます。 ここで油断すると相手は投げられた勢いを利用して起き上がろうとするので、相手の手をしっかり床に押し付けます。
相手が起き上がろうとしても、手首の関節を動かないよう固定することで起き上がることができなくなります。
相手が倒れたら、左手の裏拳で顔面に「エイ」と気合を入れて当身を入れます。 柔術では、拳で打つことも当身といい、ここでの当身は肘を起点に前腕を振って裏拳で相手の顔面を打ちます。
この時、右手は相手の右手を持ったままにします。
稽古では当たる手前で止め、相手は左手でボールを受けるように当身を受けます。
当身した左手を返しながら相手の左手甲側から手首を掴みます。これで相手の腕が逆になり、頭の方向へ真っすぐに引っ張り伸ばすとことで逆がほどける動きを利用して相手の体を回転させます。 相手の体は丸太が転がるように仰向けからうつ伏せに回転します。
右手で掴んでいる相手の右手ごと相手の後頭部に付けて体が回転するのを助けるよう押します。 力を入れて強く押すとその力に反応して相手の体が硬くなり動かなくなるので、柔らかく押します。
相手の体が仰向けからうつ伏せに回転したら、相手の左手を伸ばしたまま円を描くように反時計まわりに回し肩の位置まで持ってきて相手の手首を返します。
右手は最後まで相手の頭を押さえ、右膝を相手の左手上腕に乗せ押さえ付けます。
相手が逃げられないよう右足の親指で相手の脇腹の肋骨を押さえてから、手首をゆっくり内側に折り、相手が逃げようとした場合は、右足の親指で肋骨を押して痛めつけます。
手首の折り方は、相手の手を包み込むように握り、上から体重をかけるように圧し潰します。